上司は鑑定士!

『上司は鑑定士!』~新人ハルの不動産ゼミ~ ①

 

とある不動産会社の新入社員ハルが、不動産鑑定士である上司 森田のやさしい解説で
不動産にまつわる様々な知識を学んでいくシリーズです。

ハルと一緒に勉強してみませんか?

 

【登場人物紹介】

●佐藤ハル 24歳、不動産営業1年目。理屈より感覚派。
モットーは「わからないことは、すぐ聞く!」。

●森田ツトム 49歳、ハルの上司の不動産鑑定士。趣味はサッカー観戦と旅行。
難しい専門知識をわかりやすく説明するのが得意。

第1回:「不動産鑑定士」って何をする人?

 

第1回目は「不動産鑑定士」について学びます。

ハルは、今日も上司の森田に質問しようと意欲満々です。

 

不動産鑑定士とは?

 

朝のオフィス。入社したてのハルは、名刺の肩書きを見て首をかしげています。

 

ハル
ハル
森田さんって「不動産鑑定士」って書いてありますけど… これってぶっちゃけ、どんな資格なんですか? “鑑定”って…宝石とか美術品を見る人みたいなイメージなんですけど?
森田
森田
あはは、よく言われるよ。
でも、不動産鑑定士は 「不動産のプロの価値判定人」 だね。
簡単に言うと——

 

不動産の“正しい値段”を、公的に示す資格。

 

ハル
ハル
正しい値段…? 不動産って、売り主と買い主が話し合って決めるんじゃないんですか?
森田
森田
もちろんそれでもいい。
でも不動産は、高いし、複雑だし、利害関係がぶつかりやすい。
そこで必要なのが、

「中立的に、根拠にもとづいて、適正な価格を出す人」

それが不動産鑑定士なんだ。

 

不動産鑑定士は、どんなときに活躍するの?

 

ハル
ハル
え、じゃあ鑑定評価って誰が使うんですか?不動産会社だけ?
森田
森田
いやいや、めちゃくちゃ幅広いよ。

 

●相続や遺産分割(兄弟で意見が割れる…など)
●企業の決算(IFRS)や財務評価
●銀行の担保評価(融資の金額を決める)
●収益物件の買収・売却
●裁判や調停での価格の根拠
●道路や公共事業の用地買収
●地価公示や地価調査(国が発表する地価も鑑定士が評価)

 

森田
森田

つまり、

“公平に価格を決めたいとき”は、だいたい不動産鑑定士が呼ばれる。

ハル
ハル
え、国の地価も不動産鑑定士なんですか!?
なんか…想像よりめっちゃすごい資格ですね。
森田
森田
うん、国家資格の中でもけっこうレアなんだよ。

※不動産鑑定士  約8,800人
 弁護士 約47,000人
 税理士 約81,500人
(全国、2025年現在:編集部調べ)

「鑑定評価」と「査定」の違いとは?

 

ハル
ハル
現場で「査定書」ってよく見ますけど、鑑定評価とは別物ですか?
森田
森田
大きく違うよ。

 

【査定】

・不動産会社が出す
・“売れそうな価格”が中心
・スピード重視

【鑑定評価】

・国家資格者(鑑定士)が出す
・法律に基づく“適正な価格”
・公的資料として使われる
・裁判・税務・金融機関でも通用

 

 

森田
森田

言い換えると、

査定:市場の雰囲気を見る
鑑定:価格の根拠を証明する

ハル
ハル
あ〜なるほど!
“雰囲気”と“証拠”みたいな違いなんですね。

 

不動産鑑定士による価格の決め方って?

 

ハル
ハル
ちょっと気になるんですけど、価格ってどうやって決めてるんですか?
森田
森田
状況によって使い分けるけど、基本はこの3つだよ。

 

  1. 取引事例比較法
    → 周りの売買価格から適正値を推定
  2. 収益還元法
    →「どれくらい稼ぐ物件か」で評価
  3. 原価法
    → 土地と建物を“つくるコスト”から考える

 

森田
森田
この3つを組み合わせて、
「なぜこの価格になるか」 を論理的に説明するんだ。
ハル
ハル
へぇ〜。
なんか…数学みたいで、探偵みたいですね。
森田
森田
そう、不動産版・ロジック推理みたいな感じだね(笑)

 

ハル的まとめ

 

ハル
ハル
つまり——

●不動産鑑定士=不動産の“正しい値段”を出す専門家!
●相続、銀行、企業、裁判…いろんな場面で必要
●鑑定評価は“根拠がある公式な価格”
●鑑定と査定とは役割が違う
●価格の出し方は「事例」「収益」「コスト」の3つ

 

ハル
ハル

こんな感じですかね!

森田
森田
おお、いいね。
そう、値段を出すだけなら誰でもできるけど、
理由を語れるのが不動産鑑定士だ!
ハル
ハル
ナルホド~!
森田さん、かっこいい!!
森田
森田
森田のビシッと一刀両断!!

「査定は“予想”、鑑定は“証拠”」

 

 

監修:森田 努

不動産鑑定士及び宅地建物取引士。

相続・遺産分割・担保評価・収益不動産を得意とする。上場企業の財務諸表評価の実績も多数。弁護士・税理士・司法書士・その他専門家と連携し、適正な不動産評価で課題解決を支援。YouTubeFacebook、Xにおける不動産情報も好評。

かんべ土地建物(株)には、経験豊かな不動産鑑定士が在籍しております。
ちょっとしたことでも、いつでもお気軽にご相談ください。

👉 [不動産鑑定のご相談はこちら] https://www.kanbetochi.co.jp/appraisal/

 

 


上司は鑑定士!シリーズ一覧

👉
上司は鑑定士!シリーズをまとめて読む