第11回:管理が悪いマンションは、本当に安くなる?――“管理状態”が資産価値を分ける時代
『上司は鑑定士!』~新人ハルの不動産ゼミ~
第11回:管理が悪いマンションは、本当に安くなる?――“管理状態”が資産価値を分ける時代
とある不動産会社の新入社員ハルが、不動産鑑定士である上司・森田のやさしい解説で、不動産にまつわる様々な知識を学んでいくシリーズです。ハルと一緒に勉強してみませんか?
【登場人物紹介】
●佐藤ハル 24歳、不動産営業1年目。理屈より感覚派。モットーは「わからないことは、すぐ聞く!」。
●森田ツトム 49歳、ハルの上司の不動産鑑定士。趣味はサッカー観戦と旅行。難しい専門知識をわかりやすく説明するのが得意。
第11回:管理が悪いマンションは、本当に安くなる?――“管理状態”が資産価値を分ける時代
「森田さん、このマンション、掘り出し物じゃないですか?」
スマートフォンで中古マンションの画面を見せながら、ハルが少し興奮した様子で森田の机にやってきた。
滞納している人は?
1. 同じ築20年でも、値段は同じじゃない
もちろんそれも大切だけど、同じ築20年でも建物の状態はまったく違うんだ。
計画的に修繕してきたマンションもあれば、修繕積立金が足りず、大規模修繕を先送りしているマンションもある。
築年数による見た目の古さや減価=『経年減価』だけでは見えない部分が、マンションにはたくさんあるんだよ。
2. 管理が良いと、本当に高く売れる?
マンションの管理状態と価格の関係を調べた研究では、維持管理状態が良好と評価されたマンションの購入価格が、そうでないマンションより9.6%高いという結果が示されているんだ。※1
えっと…約480万円も差が出るんですか!?
ただし、“管理が良ければ必ず一律で480万円高くなる”という意味ではないんだ。
この数字は特定の研究条件で得られた結果で、全国すべてのマンションにそのまま当てはまるものではない。けれど、『管理状態が買い手の価格判断と無関係ではない』ということははっきり示されているね。
3. 「修繕積立金が安い」は、お得とは限らない
特に確認したいのが、長期修繕計画と修繕積立金だね。国土交通省も、マンションを長く維持するためには計画的な修繕と安定した修繕積立金の確保が重要としているんだ。
積立金が不足していれば、将来的に「積立金の急激な値上げ」「数百万円単位の一時金の徴収」「必要な修繕工事の先送り」といった問題が起こる可能性があるんだよ。
4. 鑑定士が見るのは「管理の数字」
自分の部屋の中(専有部分)をいくら綺麗にリフォームしても、外壁や屋上、エレベーター、配管などの共用部分は区分所有者全員で維持していくものだ。
不動産鑑定でいう『個別的要因(その部屋自身の状態)』だけを見ても、マンションの本当の価値は分からないんだよ。
最近は、一定の管理基準を満たしたマンションを自治体が認定する『管理計画認定制度』などの「管理の見える化」も進んでいるから、これからは立地や築年数だけでなく、管理状態もシビアに比較される時代になるよ。
今回の学びポイント
マンションを長く健康な状態に保つための“共同経営”。
専有部分(自分の部屋)だけキレイにしてもダメ!共用部分を全員で維持・管理していく視点が資産価値を大きく左右します。
中古マンションで見るべき3つのチェックポイント
適切な周期で大規模修繕が計画されているか確認しましょう。計画そのものがない物件は要注意です。
●修繕積立金の残高と将来計画に無理がないか
現在の積立金残高が計画に対して極端に不足していないか、将来の急激な値上げリスクがないかチェックします。
●積立金の滞納や修繕の先送りがないか
管理組合の会計状態や、必要な修繕が適切に行われているか、数字と履歴から見極めることが大切です。
「中古マンションで買うのは、部屋だけじゃない。
――これまでの管理と、これからの管理組合の未来まで一緒に買うんだよ。」
かんべ土地建物(株)には、経験豊かな不動産鑑定士が在籍しております。
「相場より安いけれど管理状態は大丈夫?」「修繕積立金の妥当性や適正価格を知りたい」といったご相談もお待ちしております。
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※1 本文中の「9.6%」は特定の研究条件(維持管理状態が良好と評価されたマンション等)で得られた分析結果を紹介したものであり、すべてのマンションに一律に適用できる価格補正率ではありません。個別物件の価格は、立地、築年数、規模、設備、市況などによって異なります。
※2 各種研究・統計データは分析例の紹介であり、個別物件における具体的な値下がり額や価格差を保証するものではありません。



