『上司は鑑定士!』~新人ハルの不動産ゼミ~

第9回|2026年「路線価」発表!あなたの足元の地面、実はとんでもないことになっていませんか?

とある不動産会社の新入社員ハルが、不動産鑑定士である上司・森田のやさしい解説で、不動産にまつわる様々な知識を学んでいくシリーズです。ハルと一緒に勉強してみませんか?

 

【登場人物紹介】

●佐藤ハル 24歳、不動産営業1年目。理屈より感覚派。モットーは「わからないことは、すぐ聞く!」。

●森田ツトム 49歳、ハルの上司の不動産鑑定士。趣味はサッカー観戦と旅行。難しい専門知識をわかりやすく説明するのが得意。

第9回:2026年「路線価」発表!あなたの足元の地面、実はとんでもないことになっていませんか?

 

毎年7月に発表される「路線価」。2026年は全国平均で5年連続の上昇となり、2010年以降で過去最大の伸び率を記録するなど大きな話題を呼んでいます。しかし、この「地価上昇」のニュース、手放しで喜んでばかりもいられないようです。

 

ハル
ハル
森田さん、森田さん!大変です!
ニュースを見たら『2026年の路線価が発表!全国平均で5年連続上昇、2010年以降で過去最大の伸び率!』って大騒ぎしてますよ!東京都なんて前年比で9.4%も上がったとか。

これって、私たちの持っている土地の価値が爆上がりして、ウハウハってことですよね!?

森田
森田
ふふ、ハルさん、朝から元気だね。
確かに数字だけ見ると、景気がいいお祭りのように思えるかもしれないね。
でも、本当に手放しで「ウハウハ」と喜んでいて大丈夫かな?
ハル
ハル
えっ?だって、土地の値段が上がるってことは、
自分の資産が増えるんですよ?
何か裏があるんですか?
森田
森田
いい着眼点だね。資産価値が上がる、というのは一面では正しい。
だけどね、不動産鑑定士の目線でこのデータを裏返しにしてみると……

そこには静かに忍び寄る『税金の足音』と、実態を伴わない『バブルの罠』が見えてくるんだよ。

ハル
ハル
税金の足音……?
バブルって、あの弾けるやつですか?

 

1. 路線価上昇の裏にある「税金の足音」

 

森田
森田
そう。まず大前提として、この『路線価』というのは、僕たち不動産鑑定士が判定に関わる地価公示などのデータを基に、国税庁が毎年7月に公表する『相続税や贈与税を計算するための基準価格』なんだ。

つまり、路線価が上がったということは、自動的に『相続税の評価額』が引き上げられた、ということになるんだよ。

ハル
ハル
ええっ!?
評価額が上がるってことは……もしかして、
払う税金が増えちゃうってことですか?
森田
森田
その通り。
収益還元法で見ても、実質的な賃料収入が増えていないなら、単にコストだけが跳ね上がるリスクだね……
ハル
ハル
シュウエキカンゲン……?収益をどこかに還元しちゃうんですか?
まさか、家賃収入は変わらないのに税金だけが高くなるとか……

 

2. 実入りを伴わない高騰の怖さ

 

森田
森田
察しがいいね、ハルさん。まさにその通りなんだ。
今回の上昇は、インバウンドの復活や都心の再開発に引っ張られたものでね。都道府県庁所在地の最高路線価は、35年ぶりに『下落ゼロ』を記録した。
ハル
ハル
日本中の不動産が好景気なんですね!

森田
森田
一見、日本全国が潤っているように見えるけれど、実際は一部の超一等地が平均値を押し上げている側面も強いんだ。

もし、都心に『親から受け継いだ、古い実家』を持っている人がいたらどうなると思う?

ハル
ハル
超ラッキーですよね!
家は古くても、土地は爆上がりなんですから!
森田
森田
そうでもないんだよ。売る気もないのに、評価額(路線価)だけが跳ね上がって、いざ相続が発生したときに、莫大な相続税をキャッシュで払えず、涙を呑んで実家を手放す……
なんて悲劇が、2026年はあちこちでリアルに起こり得るんだよ。
ハル
ハル
うわああ……!
土地の価値が上がることが、住み慣れた家を追い出される引き金になるかもしれないなんて……。
ウハウハどころか、むしろホラーですよ!

今回の学びポイント

💡 収益還元法(しゅうえきかんげんほう)
「その不動産が将来、どれだけのお金を稼ぎ出してくれるか?」から逆算して、今の価値を決めるプロの方法!
ハル流に言うなら、「見た目のハデさじゃなくて、実際にいくらチャリンチャリンとお金を生み出せるかで実力を測る方法」ですね!

 

失敗しないためのチェックポイント(2026年・路線価対策)

 

●「実家周辺」の路線価を必ず国税庁のHPでチェックする
都心部や再開発エリアの近くに実家がある場合、想像以上に評価額が高騰している可能性があります。まずは「現実の数字」を把握しましょう。

●実勢価格(売り値)と路線価の「乖離」に注目する

路線価は一般的に公示地価の「約8割」を目安に設定されます。しかし、現在の加熱した市場では、実勢価格が路線価の数倍に膨れ上がっている地域もあります。このギャップを突いた相続対策(小規模宅地等の特例など)が非常に重要になります。

●「納税資金」のシミュレーションを早めに行う

「土地はあるけれど現金がない」という状態が一番危険です。2026年の大幅な路線価上昇を受け、あらかじめ生命保険の活用や、土地の分筆・一部売却といった「納税資金の確保策」を家族で話し合っておくべきです。

 

森田のビシッと一刀両断!
「数字の上昇に踊らされるな。
実入りを伴わぬ地価の高騰は、増税の呼び水。」

 

監修:森田 努
不動産鑑定士及び宅地建物取引士。
相続・遺産分割・担保評価・収益不動産を得意とする。上場企業の財務諸表評価の実績も多数。弁護士・税理士・司法書士・その他専門家と連携し、適正な不動産評価で課題解決を支援。YouTubeFacebook、Xにおける不動産情報も好評。

かんべ土地建物(株)には、経験豊かな不動産鑑定士が在籍しております。
「実家の路線価が上がって相続税が心配」「効果的な納税資金対策は?」といったご相談もお待ちしております。

👉 [不動産鑑定のご相談はこちら] https://www.kanbetochi.co.jp/appraisal/

 


上司は鑑定士!シリーズ一覧

👉
上司は鑑定士!シリーズをまとめて読む