今回は、2021年12月21日に日経新聞で掲載された、「新築マンション、活況に3つの懸念~首都圏の発売戸数、22年は4.6%増の見通し」のトピックについて、東京大井町にある不動産会社・かんべ土地建物で勤務する不動産鑑定士・森田努が簡単に解説します。
億ションは死語になりつつある!?
2021年の不動産マーケットは、首都圏を中心にマンション市場が回復してきており、それに伴い不動産価格も上昇傾向にあります。少し前までは、1億円以上するマンションは「億ション」と呼ばれ、大きな話題になりましたが、最近は1億円以上するマンションが珍しくなくなり、億ションという言葉もほぼ死語となりつつあります。東京・三田で開発中の1,100戸の大規模マンションは全戸が1億円以上となる可能性があるとのことです!?
高価格帯マンションが好調な5つの理由
ここでは、高価格帯のマンションが好調な理由を大きく5つ挙げていきます。
①株価上昇による富裕層の資産の増加
2021年は、新型コロナ株などの影響もあり株価が上下に変化する局面もありましたが、全体的には上昇傾向にあり、富裕層は堅実な株式投資等により資産を増やしました。
②相続税改正等による富裕層の相続税対策への関心の高まり
2021年度の税制改正大綱により「相続税・贈与税の税制」が大きく変わりました。それに伴い、相続税対策を積極的に行う富裕層が増えました。
③若い世代の共働きパワーカップルの増加
近年、頻繁に耳にするようになった単語「パワーカップル」。パワーカップルは、一般的に高収入の共働き夫婦のことを指す訳ですが、女性が結婚後も働き続けるのが主流となってきた時代の流れの中で、パワーカップルが高価格帯のマンションを購入するケースが増えています。
④低金利が継続し、資金調達環境が良好
2021年の住宅ローン金利は相変わらず低調に推移しており、投資家たちが資金調達をしやすい環境があります。このことも、高価格帯マンションが売れ行きが好調の要因の一つだと考えられます。
⑤その他
不動産を供給する側としても、開発素地の価格・人件費・建築費等の高騰に伴い、マンション開発のコストも上がっているため、値下げの余地がほとんどない状況なのも、マンション価格に影響を及ぼしています。
以上のように、現時点では需要サイド・供給サイドともにマンションの価格の高騰を助長させるような状況にあり、しばらくはこの状況が続くものと思われます。
最後に〜億ションの死語化は現実的!〜
ここまで、高価格帯マンションが好調な理由について簡単に解説してきましたが、如何でしたでしょうか。億ションが完全に死語化してしまうのも時間の問題だと思います。
FaceBook上でも、不動産に関するやや専門的・実務的な話題について解説しているので、是非ご覧ください。
その他、不動産鑑定士森田YouTubeチャンネル【かんべ土地公式】では、大井町の老舗不動産・かんべ土地建物株式会社で勤務する不動産鑑定士の森田努が、不動産に関連する色んなことを分かりやすく紹介しているので併せてご覧ください。