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このコラムはその中でも「メシとウンドウ」に関して、最新知見を交えながら情報発信してまいります。
遠い遠い700万〜1000万年前。
我々人類は、この時期にチンパンジーとボノボの共通祖先から枝分かれして出発しました。
生物種としての「人類」というのは、現生種(現在も生きている種)、化石種(すでに化石でしか存在しないもの)の別を問わず「ヒト」という概念に含まれるものの総称です。人類をどの範囲まで含むかについては多々議論があり、化石種についてもホモ・サピエンス以外のものに関しては現在でも議論が繰り返されている状態にあります。
共通している特徴としては、直立歩行できること、犬歯の短小化が起きていること、尾が退化していること、頭蓋骨の真下に背骨が入る穴大後頭孔が開いているかどうかなどがあります。当コラムでは上記特徴を持っているヒト型動物を人類と呼ぶことにします。以後表記の中で猿人、原人、旧人、新人の様な表記をする場合は全て人類という括りで捉えてください。
ところで700万〜1000万年前に枝分かれしたその根拠というのは、飛躍的に進んでいるDNA研究の予測と、これも最新の年代予測法で計測された、最古の人類化石がおよそ700万年前であることから由来しています。
ルーシーさんと二足歩行の足跡の発見
さてやはり私たちが関連あるのは2足歩行をいつから始めたのかということですよね。人類の発祥場所はアフリカであることはほぼ揺るぎないことであると研究者達は考えています。
二足歩行の起源については1974年に発見された、370万年〜280万年前の猿人の化石達、アウストラロピテクス・アファレンシスの中でも「ルーシー」と呼ばれる一体の骨格の発掘により飛躍的に研究が進みます。
なんと全身の半分近くが残っていたのです。その骨盤や下肢には四足歩行の霊長類とは違う人類的特徴が見つかり、ルーシーさんの一族が二本足で歩いていたことが決定的になったのです。
なおテキサス大の研究グループは、ルーシーさんをおよそ3フィート6インチ(約114cm)の身長、60ポンド(約27kg)の体重だと推定されています。
またこのグループは、ルーシーさんの死因を落下によるもの考えています。彼女が高さ約12メートルの木から落下し、地面に落ちた時の速さは時速約11メートル、足から落ちて自分をかばうために腕を使ったが、衝撃の強さが大きすぎたために助からなかったと考えています。まあこれはあくまで話題ということでご理解願います。
そしてルーシーさんの発見から4年後の1978年、タンザニアのラエトリ洞窟で猿人が二本足で歩いていた事を示す足跡化石が発見されました。この化石は360万年前と測定され、少なくともこの時代には人類は二足歩行をしていた模様です。
一方で二足歩行の始まった時期やその過程にも次々とブラッシュアップがされています。
ルーシーさん達の化石はサバンナに住む動物の骨とともに見つかったので、森林から開けた草原に適応する過程で初期人類は二足歩行を始めたと考えられていました。
東アフリカでは1500万年前から乾燥化が始まり、森林がサバンナに変化する研究とも一致します。
ところが最近の発見ではチャド、ケニア、エチオピアから700万年〜400万年前ごろの猿人化石が見つかり、二足歩行していることが判定されました。この化石は草原ではなく森林に居住する動物と一緒に見つかることが多いので、人類の二足歩行は森林に住む群れから始まったのだとする考え方が現れています。
人類初の二足歩行者達は何を食べていたのか
初期の私たちのご先祖様が何をご馳走としていたのか。これは先ほどのルーシーさんの肋骨破片から胸郭の形を推定復元すると、類人猿のように腹部が膨らんでいる事がわかりました。これはご先祖様が草食動物の特徴である長い腸を持っていた事を示します。
という事は植物、もしくは植物の光合成の結果得られる実(果物や根菜)を食べていたという事は、消化にエネルギーがかなりかかるので、動けない時間が多かったと思います。そうなると、外敵から身を守れる木が身近にある森林でまず二足歩行が始まったのという推定はリアルになってきますね。
逆にいうと人類は大部分の時間を植物由来の栄養で生きてきたとも言えます。ちょっと私たちの認識とは違うんですね。
さて次回はいつから肉食が始まったのかをご案内いたします。お楽しみに。