メシとウンドウ

第2回「人類は何を食べてきたか 〜肉食以降〜」

当サイトは、不確かな現在の我々の生活に少しでも役立つ情報を発信する事をテーマにしております。

このコラムはその中でも「メシとウンドウ」に関して、最新知見を交えながら情報発信してまいります。

まずは人類系統樹のブラッシュアップです。

2022/10月、ノーベル生理学・医学賞が、絶滅したヒト族のゲノム解析と人類進化の解明における功績で,独マックス・プランク進化人類学研究所のペーボ(Svante Pääbo)教授に授与されるニュースが世界を駆け巡りました。

これは、最近15年の間に飛躍的に、古いご先祖様の骨化石からDNAを抽出し、解析が終了しているホモ・サピエンスとのDNA比較研究が進んだことを反映していると思います。

上記系統樹は最新知見をもとに作成したものです。一番上右にハテナマークがあると思いますが、デニソワ人やハイデルベルグ人の由来が実は本当にわかっていない説を採用したのでこのような表示になっています。

やはり一番の特徴はご先祖様が生きていた時代は他に5、6種類の親戚筋の人々と共生していたことですね。それが100万年前からの出来事なんです。

今回はこの事とご先祖様が始めた「肉食」が関係あるんじゃないかというお話です。

「肉」をいつから食べたのか。

最新の発掘結果で、260万年前頃の人類最古と見られる石器と、カットマークのある動物骨化石、そして叩いて割った動物骨化石が見つかります。そして240万年前頃、脳が拡大し、歯のサイズの縮小した化石化石骨(かせきかせっこつ)が見つかりました。この事から大体、この時期に私達が認識できるご先祖様の肉食ライフが始まったと思います。

同時期に、頭骨にヒョウの歯型の後がついた化石骨も見つかっているので、ご先祖様は自然界の秩序ではザコキャラであったのだと思います。なので、肉食は最初は死肉狩りと、骨を割ってその中にある骨髄スープを摂取する事から始まったのだと見られています。

急激に広がる人類

人類の歴史が700〜1000万年あるとすると200万年前は、大きな目で見ると「最近」の事です。ところで1世代=35年というのが、人類史的(文字で検証できる歴史)には相場。ご先祖様の時代は1世代が20年くらいと推測されていますので、100万年という時間は50,000世代という途方もない積み重ねです。

それが上載の系統樹を眺めると、200万年前から急速に種類が増えています。それ以前はダラダラと生きていた(本当は消化に時間がかかる食事をしていたのしょうがない)ご先祖様は、進撃を開始するのです。

これは石器を開発して、「メシ」を切り刻む事により、咀嚼や消化吸収にかかる時間が劇的に減少、細かくなっているので、栄養効率も上がる→

同時に消化するためのダラダラ時間も少なくなるので、より多くの食料索敵時間が確保、道具で身を守る原始的格闘術も開発、肉食動物に襲われる機会が減る。→

より効果的な道具の開発欲求が起こり、さらに指を使う事によって、知能が向上、レゴブロックの効能と同じことが起こった→

より摂取できる食料が多様になり、さらに雑食化が進み、さらに栄養効率も上がる→

人口が増えると摩擦も増えるので、拡散が始まる→

という流れが発生したのだと思います。

さて次回は人類は出アフリカをしたと言われています。ところがそれがホモ・サピエンスに進化してからだけはなく、原人や旧人の時代にも出アフリカを行っていたというお話をします。