当サイトは、不確かな現在の我々の生活に少しでも役立つ情報を発信する事をテーマにしております。
このコラムはその中でも「メシとウンドウ」に関して、最新知見を交えながら情報発信してまいります。
雑食に成功し、出アフリカを何度も果たしていた!?
「肉」を食した我々のご先祖は、最新研究によると約260万年前。そして約240万年前の化石骨から脳が拡大し、臼歯の縮小が確認され、あっという間に雑食化に成功しました。同時に猿人から原人に進化したとされています。と同時に、ご先祖様は何故だか世界を伺うグレートジャーニーを始めます。
ドマニシ遺跡という場所があります。黒海とカスピ海に挟まれた領域で、現在はジョージアという国がある場所です。ジョージアは現在はヨーロッパ最後の秘境を呼ばれて注目を浴びているようですが、どうもご先祖様も同じ見解だったようで、ここは多種類の、しかも種類の違うご先祖様の骨が発見された場所で有名です。
この場所で2002年に約185万年のホモ・ハビリス(240万年前~140万年)の化石骨が発見されました。この種は絶滅したという研究がありますが、タンザニアのオルドヴァイ渓谷を起点とすると約6300km移動しています。
それに先だってホモ・エレクトス(170万年前~10万年前)の化石骨が160万年前に同じくドマニシ遺跡にて1995年に発見されています。その後ホモ・エレクトスはアジアに展開します。ホモ・エレクトスはアフリカ発祥ですが、アフリカのモノとアジアのモノと相違点があるのが特徴です。
とはいえ長距離を、少なくともトライブ(部族)単位で移動し、異国で定着するという事を、こんな早い段階で行っていたという事は、栄養状態が良くなりカラダの機能的に長距離移動が容易になり、言葉や知能やひいては心の発達も進化したのでしょう。ご先祖様が何をみて感じてこのような長い距離を移動したのか非常に興味が出てきますね。
ちなみにドマニシ遺跡では、ホモ・エレクトス達は同族を介護していた形跡が発見されています。
複数のシナリオ
また140万年~100万年前のアフリカで「ホモ・エレクトス的」特徴を持った証拠も発見されています。
ということは、ドマニシのホモ・ハビリスがホモ・エレクトスに進化し、アフリカに再帰して拡散したいうシナリオや、またはドマニシ派のホモ・ハビリスは絶滅し、ホモ・エレクトスはアフリカで順調に進化してから拡散したなど、シナリオが複数考えられています。研究が待たれますが、ご先祖様は我々が思うよりも移動をしていたのは確かなことです。
もう認知革命が起きて、共同体の運営や宗教のようなものがあったのかもしれません。引き続きウォッチが必要ですね。
雑食に加え、火の発現により原人→旧人→新人の移行スピードが加速した
上掲の系統樹を眺めますと、旧人(60万年前~3万年前)の発現から新人(ホモ・サピエンス:20万年前~)への移行スピードが加速し、進撃した事が、よくわかります。かなりせせこましくなっていますからね。
75万年前のイスラエルのゲシャー・ベノット・ヤーコブ遺跡にて、焼けた種(オリーブ、大麦、ブドウ)、木、火打ち石が発見されました。これが現在確認できるご先祖と火の出会いですが、実は恐らくもっと前だろうと勝手な予測はしています。いずれにせよ、「調理」による食べられる物の範囲が飛躍的に増大したのが、進化スピードを早めたと思います。
しかし系統樹を良く眺めてみると、有名なネアンデルタール人も含め、「?」表記になっていますが、ハイゼルベルグ人やデニソワ人とご先祖様は同時に存在していました。また比較的アジアに隔離されていた、北京原人やジャワ原人、フローレンス原人は旧人とは遭遇せずにいきなりご先祖様たちと遭遇したと思われます。
ちなみにネアンデルタール人のお墓からは花粉が発見されています。死者をお花で飾ったのでしょう。彼らには死者を悼む気持ちがあったのだと思われます。
ご先祖様以外は全て絶滅したことになっていますが、2022年「絶滅したヒト科動物のゲノムと人類の進化に関する発見」でノーベル生理学・医学賞を受賞したマックス・プランク進化人類学研究所のペーボ教授の研究によると、ネアンデルタール人のDNAは私たちの中に約2%ほど受け継がれているようなので(サハラ以南のアフリカにルーツを持つ人々を除く)、一部は融合はしたようです。
ですが「サピエンス全史(ユヴァル・ノア・ハラリ著)」の見立てによると、我々は他の人類を駆逐して進撃を開始したことになっています。
我々という存在に対し、我々自身が「原罪」というべき何か後ろめたい気分があるのはこのような記憶が種として持っているからなのかもしれませんね。