当サイトは、不確かな現在の我々の生活に少しでも役立つ情報を発信する事をテーマにしております。
このコラムはその中でも「メシとウンドウ」に関して、最新知見を交えながら情報発信してまいります。
今回からもしかしたら皆さんが興味あるかもしれない「体脂肪が増える仕組み」についてご紹介いたします。
脂肪・基礎代謝・脂肪細胞・臓器としての脂肪細胞
脂肪というものを改めて捉えてみましょう。
a)太陽エネルギーの凝縮物が炭水化物、その濃縮物が脂肪である。
炭水化物は植物が葉緑素と太陽エネルギーを使って二酸化炭素と水を結合させて固定化したものです。そしてそれを通常生活で使用するエネルギー以上に摂取した動物が飢餓に備えて一時的に蓄えたものが脂肪です。
b)中性脂肪はグリセリンと脂肪酸と呼ばれる炭素がつながった鎖構造
栄養学の視点から見ると体内に入った有機物は全て化学式で表現されます。
というかそれ以外で表現できないという事なのですが、中性脂肪はグリセリンと脂肪酸が鎖状に連なった構造になっているという事です。中性脂肪=体脂肪を消費するということは炭素とグリセリンとの結合を切るということなんですね。
c)脂質が体に入ったら
余った炭水化物が中性脂肪として身体に蓄積されますが、それとは別に脂質を直接食事から摂取する機会も我々は多いです。摂取した脂質は胃で吸収され、そのうち長鎖脂肪酸はリンパ管と血液を通してまず心臓に達してから全身へ運ばれ、中鎖脂肪酸、短鎖脂肪酸は門脈を経て肝臓に入り全身へ巡回します。長鎖脂肪酸がまず真っ先に心臓に送られるのは緊急事態時にまず心臓を稼働させる事を最優先することを目的としていると思われます。長鎖脂肪酸はバターや牛脂、植物油など、身近な食品に多く含まれています。
中鎖脂肪酸、短鎖脂肪酸は直接肝臓に入るので過剰摂取に注意しましょう。中鎖脂肪酸(ココナッツなどヤシ科植物の種子に含まれるいわゆるMCTオイル)をドンと摂ると肝臓はケトン体に変え、全身で消費するようにします。特にこのケトニック系のエネルギー創出は、炭水化物つまりグリコーゲン系のエネルギー創出と相対するものです。この数百年、食糧事情がホモサピエンス史上において、異常に向上し、グリコーゲン系の代謝が主役になっている現在、インスリン分泌が起こらないので意識低下が起こるなどの理由から、敢えてケトニック系の代謝を使用する意味がないという意見もありますが、ホモサピエンスが持っている機能をたまには使うのも良いのかなとも考えます。ケトニック系代謝は目下研究中です。
d)脂質について
脂質は主に中性脂肪とコレステロールに分類されます。
•1gあたり9kcal→グリコーゲンのカロリーが約4キロカロリーなので保持しているエネルギーとしては脂肪の方が効率が良いとも言えます。
•コレステロールには内臓もしくは内臓に近い形状に多く含まれる、植物には含まれない→コレステロールは内臓や血管やホルモンを作る原材料となりますのでまさにその通りです。ただとりすぎると、コレステロールが血中に浮遊して血管に付着して血管つまりの原因になってしまうという特徴があります。
•コレステロールは肝臓で合成される内因性(8割)と食物から摂取される外因性(2割)
•コレステロールは、普段は肝臓が食事の都度、内因性5割・外因性5割というように調整しますが、加齢により肝機能が衰えるとうまく調整できなくなるので、主に外因性コレステロールが血中に浮遊していくので、血管つまりの原因となるので気にするべきです。
40歳を超えると食生活に注意する理由がここにもあります。
もちろん食事だけではなく、正しい姿勢を作って生活するで代謝を増やすなど運動計画とも密接に関連しています。
基礎代謝について
何もしないで、じっと座ったり寝転んでいる時のエネルギー消費のことを指します。
消費割合は、骨格筋22%、肝臓21%、脳20%、心臓9%、腎臓8%、脂肪4%、その他16%がという構成となっています。脳が思ったよりも消費しているのです。
運動活動すると筋肉の血流が約1.5倍になり、エネルギー消費が著しく増加します。活動後も興奮状態は続き脂肪代謝が亢進した状態が続き48時間かけて元に戻っていきます。これが運動が代謝をあげる大きな要因となっています。ただし「運動すると腹が減る」というのも真実でついつい食べ過ぎてしまう事も、注意しましょう。
肝臓は常に一定に肝臓内に貯蓄された中性脂肪をエネルギーとして消費しています。ところがアルコール摂取すると肝臓はその機能のほとんどをアルコール代謝に割くのでその時間分の基礎代謝は無くなります。例えば体重70kgの人がアルコール5%のビールを500ml飲むと約2.8時間アルコール代謝に時間がかかります。この量を毎日と1週間で約20時間分の肝臓基礎代謝=脂肪消費がとまります。これがダイエット時にアルコールを控える理由です。
脂肪細胞は体脂肪を貯蓄する風船のようなもの
体脂肪が増えるとどんどん膨らみ入り切らなくなったら、新しい脂肪細胞が新生されます。
新生される数には個人差があるので新生数が限界に達すると血液中に脂肪が溢れ出します。
ギネス記録では560kgが最重量です。この人は逆にいうと体脂肪を平均値の5倍以上新生できるという「太る才能」があったということになります。太るのも才能なのです。
脂肪が血液中に溢れ出すことが高脂血症や糖尿病の始まりでいわゆるメタボリック・ドミノと言われる状態です。
なぜ肥満が病気になるのかというと実は食べることは、生物学的にいうと異物の取り込み該なのです。腸管は免疫が発達しているので腸管の消化能力以上の食物を摂取すると、炎症をおこします。
なので、お腹の調子が悪い人はまず「メシ」を変えて炎症を鎮める必要があるのですね。
肥満由来の症例は腎臓と腸を休めると改善していきます。
脂肪細胞はダイエットなどにより小さくなっていき、やがて空っぽになります。その空っぽ状態が2週間続くとアポトーシス(細胞の死)迎え、消滅します。逆に体重が減ったからといってすぐ食物摂取を行うとリバウンドが起こります。これがダイエット期間が脂肪細胞を空っぽにする期間と脂肪細胞が消滅する期間を合わせて最低でも1ヶ月以上となる理由です。
臓器としての脂肪組織
脂肪細胞は長らく一時的にエネルギーを保管している「部分」と捉えらえてきましたが、「レプチン」という脂肪細胞で作られ、脳に働きかける物質が発見されて見識が変わりました。
レプチンは「エネルギーが充分溜まっている」というメッセージを血液に入って視床下部に届け、結果食欲抑制を起こす物質です。
また、血中に脂が多い状態になると、漂っている脂を敵と脂肪細胞が勘違いして「TNFα」という体内に敵がいるという物質を放出し、免疫細胞を活性化させます。
このような振る舞いをする脂肪細胞は「臓器」として認識されつつあります。
ところで、本来ウィルスや細菌を退治するはずの免疫細胞が、敵がいないのに活性化すると、免疫の暴走が始まり、慢性炎症となって心筋梗塞や動脈硬化などの症状を引き起こします。これは免疫細胞の生涯が、その全身をバーストさせて終わり、その死骸カスが血管を傷つけることでギザギザができて血中の脂肪分が付着する原因となることと言われています。
人間のホメオスタシスは神秘と言って良いほど素晴らしいものがありますが、それは過去700万年以上かけて最適化してきた結果です。そのホメオスタシスに対してこのような異常な働きをしてしまう現在の食環境が異常事態になっているということだと思います。
最適な栄養摂取に対する知識を持つことは、生命を全うする上で非常に大切なことだ考えてます。