メシとウンドウ

第9回「現代の我々は何を食べるべきか 〜体脂肪が減る仕組み2〜」

当サイトは、不確かな現在の我々の生活に少しでも役立つ情報を発信する事をテーマにしております。

このコラムはその中でも「メシとウンドウ」に関して、最新知見を交えながら情報発信してまいります。

今回からもしかしたら皆さんが興味あるかもしれない「体脂肪が減る仕組み」についてご紹介いたします。

カラダがエネルギーを消費する流れ

体重過多は食べ過ぎとの因果関係、運動とは相関関係にあるといえます。当たり前ですが、摂取カロリーが、基礎代謝プラス運動カロリーよりも下回り、かつ食欲が満足するように設計するのが基本です。

ATP(アデノシリン三リン酸)というモノ

地球上の真核生物はグリコーゲンや脂肪酸やアミノ酸などをエネルギーとして利用する際に、ATPに変換してから、色々な用途に活用しています。生産場所は細胞内のミトコンドリアです。ミトコンドリアがATPを生産する仕組みもこれまた摩訶不思議なのですが、どんな栄養素でも最終的にはATPに変換しないと我々は動けません。ATPは「生体のエネルギー通貨」とも形容されています。「エネルギー」を「消費する」という意味は体内に入った栄養素が消化分解されて、細胞内に入り、ATPが生産され、それが生体活動で使われる一連の流れともいえます。

エネルギーを消費する流れ
  1. 食事後3時間程度で消化吸収終了する→まずは食事内の炭水化物がグルコースに変換されそれによりインスリンが分泌され、各細胞にデリバリーされ使用されます。
  2. それが尽きると、に肝臓(400kcal)と筋肉(400kcal)に貯蓄されていたグリコーゲンが分解されて、グルコースを供給して使用されます。
    ここら辺で空腹を感じ、食事をとるタイミングにしたいですね。運動もこのタイミングが一番効果があるとされています。
  3. 次にグルコース使用は中枢神経系統のみに限定、他では貯蔵脂肪(ほぼ中性脂肪)を分解して使用する。
    この状態が続くとカラダが飢餓状態を認識して、省エネモードにチェンジするので、この見定めが大事です。大体72時間程度と言われています。この段階でカラダをうまく騙すテクニックをたくさん持っているダイエットトレーナーは優秀です。
  4. さらに中枢神経系では、筋肉を分解してグルコースを創出(新糖生)し利用していきます。
    よく断食ダイエットでは、3日目から時間毎に体重が減っていくという報告がされていますが、その時にはこの現象が起こっていると思われます。結構カラダの負担が大きいので注意しましょう。
ところで中性脂肪が分解されて消費されるプロセス

私たちの体内に蓄えられている脂肪は中性脂肪であることは知られています。これらは飢餓状に対する私たちの大事なホメオスタシスであるのですがこれらはどうやって減っていくのでしょうか。

  1. 中性脂肪は脂肪酸とグリセロールに分解
  2. 脂肪酸はアセチルCoA、グリセロールはグルコースに変化
  3. グルコースはアセチルCoAが細胞内のミトコンドリア内クエン酸回路(ATPが生産される場所ですね)に入るのを手伝い、アセチルCoAは、そこでアデノシン三リン酸 に変化、生命維持活動に使われていく

という流れです。この流れを強くイメージする事により、脂肪が減少した例も報告されています。

それでもグルコースが不足した時には、カラダはケトン体をエネルギー利用する

ケトン体は、中性脂肪を分解してできるアセチルCoAから生成されます。
ケトン体はグルコースと同様に脳関門(血液と脳・脊髄を含む中枢神経系の組織液との間の物質交換を制限する機構)を通過できます。ここから先が巧妙なのですが、脳関門を通過後再びアセチルCoAに変換して脳細胞のATP生産に利用されるようになっています。これらの理由がケトジェニック派の主張で間違ってはいないところです。ちなみにケトン体の生産場所は肝臓です。
*ケトン体を利用する仕組みは、最後の生命維持の砦です。人間の歴史の大部分は飢餓状態でケトン体を利用して進化してきたと言う人もいますが、実際は火の利用で雑食になってから人類の進撃が始まったのが本当の様です。もちろん持っている機能を使うというのは、カラダのDNAに刺激を与える分には良いと思いますし、ケトジェニックが及ぼす良い影響も報告されていますが、まだ分かっていない部分も多いです。人間のカラダは全てトレードオフなので、ケトジェニックをやるのであれば、状態を客観的に眺めながら、実行しましょう。