メシとウンドウ

腰痛はなぜ起こるのか-④

当サイトは、不確かな現在の我々の生活に少しでも役立つ情報を発信する事をテーマにしております。このコラムはその中でも「メシとウンドウ」に関して、最新知見を交えながら情報発信してまいります。
今回から3000万人が抱えているとされている「腰痛」とその原因と解決方法についてご紹介いたします。

ここでは感染や炎症あるいは血管障害変性疾患などで細胞あるいは組織が破壊 あるいは変化を受けた結果、症状として現れる疾患を原因とした「器質的障害」の腰痛は対象としません(例:椎間板ヘルニア・腰部脊柱管狭窄症等々)。

筋肉はセットで機能する

前回で説明したテンセグリティ構造を持つ人体(実は動物全て)は「骨」と「筋肉」が要素です。筋肉について改めて考察しますと、「伸びて縮む」事が特徴です。例えば椅子に座っている時、私たちは一瞬前屈みになってから、立ち上がりますね。

あれはお尻の筋肉(大臀筋)を一瞬伸ばし、それが再び縮む時のパワーを利用しています。試しに全く前屈みをしないでそのままの姿勢で立ちあがろうとしてみてください。全く動作ができないと思います。

我々は筋肉を伸ばして縮ませて生活しているのです。また同時に前屈みになって椅子から立ちがる時に、反対側の筋肉も実は活動しています。それは腸腰筋群です。これらは股関節を曲げるときに、大腿骨を引きつける役目を果たしています。先ほどの前屈みになる時に、腸腰筋群は縮んでから、伸びています。伸びるときは、反対側のお尻の筋肉(大臀筋)が縮む時のパワーを利用して伸びているのです。

そういう視点で眺めてみると、例えば肘を曲げて伸びる時、膝を曲げて伸ばす時、反対側の筋肉同士がセットで協調して機能しているのがわかると思います。

筋肉が一定時間、不適切な位置で固定化するとどうなるか

デスクワークや、体を使った作業の時間が続くと、筋肉はどのような反応をするのでしょうか?

まずは筋肉の特徴を考察しましょう。どうやら3つのポイントがあるようです。筋肉はゴムと一緒で正しい筋長が保たれた時に最大限の機能を発揮します。伸び切ったゴムヒモが戻る力が無くなってしまうのと一緒です。

  1. 弾性(力が取り除かれた時に、組織を元形・大きさに戻そうとする)
  2. 粘性(変形ストレスが取り除かれた後も組織は完全回復をせず、ゆっくり変形する)
  3. 可塑性(伸ばされた後、そのままの長さを保とうとする)

この法則を椅子に長時間座った場合を想定してみましょう。お尻の筋肉(大臀筋)は座っていますので、伸びています。反対に足を上げる筋肉(腸腰筋群)は、短くなっています。

座る時間が長くなると、大臀筋は可塑性の特徴(伸ばされた後、そのままの長さを保とうとする)を発揮して筋長は長くなります。また腸腰筋群は粘性の特徴(変形ストレスが取り除かれた後も組織は完全回復をせず、ゆっくり変形する)を発揮し、筋長は短くなります。

大臀筋→長い、腸腰筋群→短い状態が続くと、大臀筋は伸び切って硬くなり、腸腰筋群は短くなって筋肉の出力が落ちてしまいます。

この状態が続くと反り腰の状態が起きやすくなり、腰痛の原因となってしまいます。

なので、オフィスワーカーや運転する仕事の人は定期的(できれば1時間毎)にストレッチをして筋肉の長さを適切な状態に保つ事が極めて大事なのです。